本研究で取り上げる超重症児は、重症心身障害児の中でも特に濃厚な医療的ケアを必要とする子どもたちであり、その心理学的な解明やより有効な教育指導方法の開拓がまだほとんど進んでいない。このような現状を踏まえ本研究は、教育の場において超重症児の担当教師は指導上どのような困難に向き合い、その改善のためにどのような工夫を行い、さらにどのような課題を抱えているのかを明らかにすることを目的としている。このため、昨年度は全国の病弱・肢体不自由特別支援学校373校を対象としたアンケート調査を実施、今年度その結果について学会報告を行った。また、学術誌への投稿を準備中である。さらに今年度は、昨年度未実施であった知的障害特別支援学校113校を対象とするアンケート調査を実施し、現在、詳細な結果の分析を実施中である。 一方、上記の目的のため、特別支援学校の担当教師らの実践の場(病院内)に参与観察する一方、教師らと互いに連携しながら研究代表者ら自らが実践的検討を展開している。対象は4事例であり、2事例については体性感覚、1事例に関しては視覚・聴覚に働きかける取り組みを心拍数変化を手がかりに実施し、指導経過を追跡中である。さらに1事例についてはベッド上で可能な経験の蓄積を目指すと共に文字習得のための基礎学習を展開している。この事例に関しては瞬きや眉毛の動きを発信手段として活用する取り組みもビデオ分析を踏まえつつ実施中であり、現在データの蓄積を行っている。
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