本研究の初年度に当たる2009年度は、発達障害児の早期支援及び地域支援の観点から、まず福島県相馬市及び南相馬市をフィールドに選び、各教育委員会、福島県相双教育事務所に挨拶に赴き、幼児教育担当者との打ち合わせや研究への協力依頼を行った。加えて相双地区の幼稚園教諭や保育所の保育士を対象に発達障害児の早期支援に関する現場での課題やニーズを明らかにするためにアンケート調査を実施した。その結果、早期からの支援の必要性と保護者支援の必要性が改めて明らかになった。さらに、就学前の幼稚園や保育所での取り組みや配慮事項等の支援情報が小学校へうまく伝わってなく、折角の貴重な情報が生かされてないということが明らかになった。つまり、就学前から就学への移行支援の不備と問題点が明らかになった。こうした研究課題に関する資料や関連研究を探るために、日本特殊教育学会(宇都宮大学)や日本LD学会(東京学芸大学)、特別ニーズ教育学会(山形大学)等へ参加し、資料収集と情報交換を行った。 福島大学内に設置している早期支援教室(「つばさ教室」)で就学前の発達障害児への支援を行い、幼児教室では主としてSSTを、母親教室ではペアレント・トレーニングを実施した。その一環として、母親教室におけるペアレント・トレーニングの実践を日本教育大学協会全国特別支援教育合同研究集会(弘前大学)で報告した。 また、福島大学プロジェクト研究所として2009年6月に立ち上げた「発達障害児早期支援研究所」と連携して、発達障害児の早期発見と早期支援の重要性に鑑み、とりわけ5歳児健診の必要性について鳥取大学の小枝達也教授をお招きして講演会を実施した(250名参加)。講演会には福島県内の幼稚園や保育所の関係者が多数参加した。
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