今年度の調査結果は以下の4点にまとめられる。 1.20の市町村教育委員会の協力を得て、年間30日以上欠席した児童生徒の調査を行った。その出現率は、年間30日以上の長期欠席(あるいは不登校)と同様に、市町村によって、また学校単位によって大きく違うことが明らかになった。 2.上記1のうち1つの市教育委員会の協力を得て、年間100日以上欠席した児童生徒の家庭についてその社会経済的地位(家族関係や、主として就学援助などの経済状況)を調査し、緊急な家庭訪問が必要と考えられる「危険な欠席」(=教員が児童生徒に長期間会えていない場合)について検討した。特に年間欠席150日以上の児童生徒について、さらに学校および市教育委員会の報告を求めて事例検討を行った結果、福祉スタッフとの連携が急務であることが確認された。 3.10人以上の家庭訪問スタッフを抱える3市について、担当指導主事に面接して聞き取り調査を行った。その結果、いずれも保護者の要請(承認)を条件としているため、家庭が関わりを拒否する長期欠席児童生徒(上記2の「危険な欠席」にあたる)は訪問対象となっていないという問題が明らかになった。また、中学校卒業後の支援の問題や、家庭訪問スタッフが非常勤であることなどの課題も明らかになった。 4.学校による家庭訪問と「出席督促」について法的な観点からその位置づけを検討した。 なお、これに基づいて、虐待による児童生徒の死亡検証事例(千葉県松戸市の中学校2年生、高知県の小学校5年生、東京都江戸川区の小学校1年生)や、家族による長期監禁事例(福岡市の18歳保護、札幌市の19歳保護)を再検討する予定である。
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