研究課題/領域番号 |
21531013
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
長澤 正樹 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 教授 (30293187)
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研究分担者 |
有川 宏幸 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (80444181)
増澤 菜生 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (10251779)
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キーワード | 高機能広汎性発達障害 / ソーシャルスキルトレーニング / ビデオセルフモニタリング / 行動記録Webカメラシステム |
研究概要 |
本研究では、知的障害を伴わない青年期広汎性発達障害者に対し、Webカメラシステムを用いたビデオセルフモニタリングが、実際の対人シミュレーション場面における、望ましい行動への自己修正行動の生起に貢献するか検討を行うことに合わせ、補助的指導として「行動のラベル化」、「修正ポイントの言語的提示」、「行動リハーサル」を段階的に組み合わせることによる効果の検討も行った。最終的には、これらの結果を基にプログラム化に向けた課題を明らかにすることを目的とした。 結果は、参加者それぞれに変容のプロセスは異なるものの、すべての補助的手段を用いることで、最終的には自己修正は可能であった。中には、ビデオセルフモニタリングを導入しただけで、ただちに行動を自己修正する者も見られた。 しかしビデオセルフモニタリングによる自己修正行動の生起が直ちに観察されない参加者の中には、自己修正すべき行動について、自身で明確に記述できているにもかかわらず、行動変容にいたらない者がいた。つまり、修正すべき行動に気づいていながらも、実際の行動修正にはいたらないのである。このケースの場合、最終的には行動リハーサルを導入する必要があることが示唆された。 この結果は、前年度研究においても報告した、ルールとしてのソーシャルスキルの習得が直ちに行動レベルに影響するわけではないという結果を支持すると共に、自己認識の過程において、自身の行動上の課題に気づいていながらも、必ずしも行動修正には至らない者の存在が確認された。 したがってソーシャルスキルトレーニングのプログラム化においては、必要に応じて段階的に進められる必要があることが示唆された。
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