研究概要 |
本研究では、知的障害を伴わない広汎性発達障害者の自己認知・自己修正によるソーシャルスキルの指導プログラム自己評価プログラム)の開発を目的とした。 自己評価プログラムは、,「ビデオモニタリング」「セルフモニタリング」「セルフインストラクション」を用いたソーシャルスキルプログラムである。プログラムの構成は、1)参加者が、課題としているシミュレーション場面で、自身のソーシャルスキルのビデオモニタリングと、自己評価を行う、2)応用行動分析学にもとづく自己分析スキルの習得(講義と演習)、3)事前に記録された自身のソーシャルスキルビデオ記録の自己分析と、行動目標の設定、4)シミュレーション場面でのリアクティビティ(reactivity)の測定と自己評価という内容で構成されていた。 結果はビデオモニタリングを行う事で自らの適切な行動・不適切な行動に気づきをもたらしていた。また、応用行動分析学の手法を取り入れた自己分析においては、行動の先行条件と結果について予測し、セルフインストラクションの機能を持つ行動目標の設定も可能となっていた。さらにすべての参加者が心理的ストレス反応の「不安」が低減していた。 しかしながら、一方で、参加者の中には他者評価は改善もしくは現状の維持を示していたにも関わらず、自己評価においては変化が見られない、もしくは悪化を示していた。また、いずれの参加者もソーシャルスキルの自己評価尺度であるKiSS-18(菊地,1988)の得点はほとんど変化しなかった。
|