入院児への効果的な教育的介入モデル構築へ向けて、22年度は3つの研究活動を行った。第1に、院内学級におけるフィールドワーク(授業観察・事例検討会開催・校内研究指導)を通して事例研究を行った。院内学級教師と共に事例を検討する中で、入院児への教育的介入において病弱教育オリジナルのアセスメント・シート開発や教育実践事例集積へのニーズが明らかになった。アセスメント・シートは現在開発中である。第2に、21年度に引き続き、病弱教育実践上の困難を明らかにすることを目的として、教師対象の自由記述質問紙調査及び半構造化面接調査を行った。結果として、学習内容の精選等、昨今の入院短期化を反映した実践上の課題に関する情報を得ることができた。第3に、病弱教育における「心理的支援」についてKJ法の結果をまとめ、2本の実践報告とともに学会において自主シンポジウムを行った。病弱教育以外の特別支援教育においても重要なテーマである心理的支援をあらためて問い直した問題提起を行うことができた。 上記の研究はいずれも従来研究としてまとめられてこなかったテーマであり、研究成果は、平成22年度9月の学会および紀要論文として発表を行い、学会誌への投稿準備中である。23年度は、病弱教育実践上の困難について質的分析をまとめ、更なる検討を行い、研究の総括として、病弱教育における入院児への効果的な教育的介入モデルを提案する予定である。
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