研究概要 |
目的 本研究では,学習障害を中心とした発達障害児の読み能力に焦点を当て,その改善を図るためにこれまで開発した評価ツールおよび援助プログラムを用い、その効果を縦断的に検証することを目的としており,平成21年度はこれまでの調査により明らかになった音韻認識の困難な読み障害グループと視覚効率の困難な読み障害グループを識別する各検査のバッテリー化を図ることであり、さらにこれを用いて音韻系・視覚系の各タイプの児童を特定することであった。 方法 対象 小学校5学年で通常学級に在籍する児童132名(男子66名、女子66名) 手続き 先行研究で検討した以下の検査をバッテリー化して用いた。 ・読み能力の測定に、教研式全国標準読書力診断検査(図書文化社)、 ・視覚効率の評価として「Tobii Eye Tracker 1750」 ・視知覚の測定にTest of Visual-Perceptual Skills Revised(Gardner)、 ・書字能力の評価に「小学生の読み書きスクリーニング検査」 ・音韻認識の評価として逆唱課題(2~5モーラ)と音韻操作課題(2~5モーラ) 結果 各下位検査の得点分布から検査の妥当性を検討したが、音韻操作課題において上限効果が見られ、課題の修正の必要性が示された。併せて読書力検査から読解力の得点が平均-1SD以下に該当する児童(ほぼ読書学年が1学年以上遅れているのに相当)の選定を行ったが、24名がその条件に該当し、これらの児童を対象にサブタイプの分類をおこなった。
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