目的平成21年度の調査結果に基づき、下に示した各検査から全般的な知的機能の遅れはなく、読み能力に著しい遅れを示した児童のうち、主として音韻認識及び音韻操作が原因と推測され、併せて眼球運動に問題が認められた児童を抽出し、指導を実施した。その指導の読み能力に対する効果を明らかにすることを目的とした。 方法対象小学校通常学級に在籍する女児 手続き評価に用いた検査群 ・読み能力の測定に、教研式全国標準読書力診断検査(図書文化社)、 ・視知覚の測定にTest of Visual-Perceptual Skills Revised(Gardner)、 ・書字能力の評価に「小学生の読み書きスクリーニング検査」 ・音韻認識の評価として逆唱課題(2~5モーラ)と音韻操作課題(2~5モーラ) 結果指導後に実施した読み能力の評価では、下位項目である読字力、語彙力、文法力、読解力のうち、読字力及び語彙力において、有意な効果が確認された。これについては指導内容のうち、特に音韻系の課題が文字の符号化に対して一定の効果をもたらしたと考えている。一方、文章の読解については今回の指導において効果は認められなかった。
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