研究概要 |
全国の特別支援学校への質問紙調査を基に,特別支援学校に在籍する幼児児童生徒のアレルギー疾患有病率やその対応状況を分析し,その実態を明らかにした。1,131校に質問紙を郵送し,500校(44.2%)から回答を得た結果を分析し,対象校の在籍幼児児童生徒総数は男子32,303人,女子17,614人,計49,937人であった。特別支援学校の在籍者の有病率は,疾患によって,小・中・高等学校・中等教育学校の在籍者の有病率の1.1倍から1.9倍であった。しかし,男女比,自然歴はほぼ同様であった。学校における取組として,アレルゲンの把握,学校生活での配慮,体育の授業などでの配慮,校外学習などでの配慮,緊急時の対応,学校での医薬品などの使用に関する取組について確認した。その中で,アレルギー疾患のための取組は特別支援学校と小・中・高等学校・中等教育学校はほぼ同様の状態であった。ただし,ぜん息,アトピー性皮膚炎,食物アレルギー,アナフィラキシーの実態把握は小・中・高等学校・中等教育学校が高率で,アレルギー性鼻炎・結膜炎,アトピー性皮膚炎の持参薬の確認は特別支援学校が高率であった。なお,対象となる幼児児童生徒の在籍の有無にかかわらず,取組をしていないと回答した学校はぜん息7校(対象児在籍6校),アトピー性皮膚炎10校(対象児在籍6校),アレルギー性鼻炎・結膜炎10校(対象児在籍アレルギー性鼻炎9校・アレルギー性結膜炎1校),食物アレルギー8校(対象児在籍5校),アナフィラキシーショック17校(対象児在籍0校)であった。その中で,調査対象疾患すべてに取組をしていない学校は2校であった。
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