研究課題/領域番号 |
21531032
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
田中 敦士 琉球大学, 教育学部, 准教授 (40347125)
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キーワード | メンタルヘルス / 特別支援教育 / 専門性 / 教員 / EAP / うつ / ストレス / 予防プログラム |
研究概要 |
本研究課題の第1の目的は、特別支援学校教諭免許状の有無と専門性およびメンタルヘルスとの関連について、教員に対する質問紙調査と諸検査から実証的に明らかにすることである。研究第3年度は、特別支援学校教諭免許状を保有しないまま障害児の指導にあたっている現職の教員211名を対象とした。当初100名を予定していたが、沖縄県内特別支援学校からメンタルヘルスに関する研修とメンタルチェックの実施を依頼され、当初計画の2倍以上の教員数となった。十分な説明の上で、個人情報に細心の配慮をして無記名番号式の結果フィードバックを保証し実施したところ、200名以上の教員より有効回答を得られた。調査結果から、6割以上もの教員が精神健康度検査(GHQ28)で6点以上を示し、メンタルヘルスに何らかの不調があるものと考えられた。その他、「ストレッサー尺度」「対処行動測度」等についてもデータ収集し、教職経験年数や特別支援教育の専門性自己評価、校内/校外相談者の有無、ソーシャルサポート等との関連性について検討した。今回も昨年同様に特別支援教育の専門性とストレスとの関連を検討したが、教師のストレスにつながりやすい項目としては、「保護者の対応」、「個別の教育支援計画の作成」、「授業実践力」が挙げられた。本研究課題の第2の目的は、教員の精神疾患の予防方法について、訪問調査から優れた実践ノウハウを収集し、わが国の各都道府県教育委員会等で実施するのに望ましい予防プログラムの試案を作成することである。第3年度は国内外の民間企業等で広く導入されているEAP(従業員支援プログラム)についての情報収集を引き続き行い、民間のサービス事業所の情報を多数入手し、各事業所のサービスプログラムについて分析した。また、EAPに関する民間企業や沖縄障害者職業センターと共同で研究会を立ち上げ、沖縄県における教員へのEAPに関する将来構想についても検討を始めた。メンタルヘルスやEAPに関するこれまでの研究成果についても国際学会で発表したり、雑誌論文に投稿し掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
データは当初の計画通りに順調に収集できている。EAPのプログラムについては、様々な機関から情報収集を図っているが、EAP企業にとっては最重要情報でもあるため、信頼関係の構築のため直接対面で何度も訪問する必要性が生じている。そのため旅費が予定以上に必要となっているが、共同で研究会を立ち上げるなど当初計画以上の成果を得ることができている。
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今後の研究の推進方策 |
計画を忠実に進めデータの蓄積を図るとともに、EAPのプログラム作成に向けて試案の作成まで第4年度は進めたい。EAPに関する民間企業や沖縄障害者職業センターと共同で立ち上げた研究会を活用し、本研究課題で作成するEAPのプログラム(試案)の検討も行う予定である。
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