注意障害は学習障害や注意欠陥/多動性障害といった発達障害に共通して合併する事の多い症状である。しかし、この注意障害には多動性、不注意、衝動性など様々な症状があり、これらの症状を適切に評価することは、治療上も環境調整を行う上でも重要であるが、方法が未確立である。我々は反応時間課題を用いてこの臨床症状を適切に把握することを目的に、多重感覚刺激を反応課題として取り入れ複数の課題を考案した。本研究ではそれぞれの課題の反応時間と臨床症状との関連、更に作業療法介入を6ヶ月継続した後の臨床症状の変化が反応時間に反映されるかという点について明らかにした。その結果、発達障害に合併する注意の問題は、呈示刺激の空間的な広がりが大きく影響し、注意の空間的な配分と移動という要素が日常の行動特徴と関連が示唆された。また、視覚ノイズはターゲット刺激の位置が固定されている場合には影響せず、空間的要因と結びつくことで2次的に注意機能に影響することが考えられた。この特性は、作業療法を提供することで軽減し臨床症状の改善と呈示刺激を空間的に広く配置した課題の反応時間の短縮とが関連していることが確認できた。
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