研究概要 |
発達障害のある者への効果的なキャリア教育プログラムの開発に向け「(1)文献調査」「(2)質問紙調査・グループインタビュー調査」を実施して必要な知見を集め,それに基づき「(3)プログラム案」を開発した。 【成果】 (1) では,「働くことへの意識」「働くために必要な業務・対人・生活面のスキル」という視点から,発達障害のある者の就労上の困難さを50個抽出しリスト化した。また,関連する指導内容・方法について情報を得た。一例を挙げると,「働くことへの意識」に関する困難さとしては「働くことの必要性や切実さが分からない」などが把握され,その指導に関しては「働くことへの興味を持つために,親の仕事での実体験を聞いてみる」などの情報を得た。 (2) では,(1)で把握された困難さの解決に向けたプログラムの在り方について示唆を得た。質問紙調査では,就労支援機関・教育機関の指導者に「特にどの困難さの解決に向けた学習機会を充実させればよいか」を尋ねた。その結果,「人にうまく支援を求めることが難しい」「職場で定められたルールを守ることが難しい」「働くことの必要性や切実さが分からない」「働くことに自信がなかったり,臆病になる」ことへの対応が求められていた。グループインタビュー調査では,発達障害のある子どもの保護者に「我が子にみられる困難さとそれに対する家庭での対応」について尋ねた。その結果,「家庭で働くことについて話をしても働くことのイメージや意味についての理解が深まりにくい」「しつけ等で模擬的に必要な事柄を学ばせても実際の場面においてスキルを応用することが難しい」ことなどについて意見を得た。 (3) では,上述の知見をもとに,プログラムで必要とされる内容の選定を行った。そして,それらの内容について,国立教育政策研究所生徒指導研究センター(2002)で示されたキャリアの発達段階をふまえ,小学生~高校生までの系統的なキャリア教育プログラム案を考案した。
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