実験用の教材として、タイムラインベースのアニメーションの基礎技術を教示し、簡単なアニメーションを制作する手順を示す教材を作成した。この教材では、手順を示す動画(動的コンテンツ)と動画に同期して内容を説明するコメントが提示される。動的コンテンツは、再生、停止、巻き戻しなどの動画再生の基本機能を備えているので、学習者は自分のペースに合わせて学習を行うことができる。 学習者がどのように教材を利用して学習するのかを明らかにするために、教材利用過程の計測実験を実施した。被験者は、聴覚障害者20人、健聴者20人の合計40人であった。被験者は、教材で示された通りに、アニメーション基礎技術習得課題を遂行することが求められた。課題の制限時間は20分とした。被験者のうち、この教材の使用経験者は、聴覚障害者7名、健聴者0名であった。制限時間内で課題を達成できた被験者は、聴覚障害者群で11名(内7名はソフト使用経験者)、健聴者群で10名であった。課題遂行過程は、マウスポインター・キーボード入力や画面の内容を含む動画、ならびに、アイトラッカーにより計測される視点位置により記録された。 記録されたデータについては、課題を達成できた者と達成できなかった者の差の同定、聴覚障害者と健聴者の操作の差の同定をすることを目的として、分析を進めている。次年度は、差の同定された箇所の課題達成時間、眼球運動、マウス操作等から操作特性を抽出する予定である。
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