研究課題
前年度に、実験用の教材として、タイムラインベースのアニメーションの基礎技術を教示し、簡単なアニメーションを制作する手順を示すe-learning教材を作成した。この教材は、デモ提示ウィンドウ、作業ウィンドウ、吹き出し教示の3つの部分から構成されている。学習者は、「再生」「停止」「巻き戻し」などの動画再生の基本機能を利用して、デモと吹き出し教示を自分のペースに合わせて提示させることによって手順を把握し、作業ウィンドウでそれを実行することによって、手順の学習を行うことができる。そして、学習者がどのように教材を利用して学習するのかを明らかにするための教材利用過程の計測実験を実施した。データは、20人の聴覚障害者、20人の健聴者が、5学習ユニットからなるe-learning教材を利用する時の視線データ、操作ログデータである。今年度は、全ての課題を遂行できた健聴者と聴覚障害者の教材利用過程を比較するためのデータ分析を実施した。その結果、健聴者は、課題ユニットのデモ提示とそれに伴う吹き出し教示を見て何をなすべきかを把握した後に、作業ウィンドウでそれを自身の手で行うという、e-learning教材の本来の利用方法に従って学習を進めていたことがわかった。一方、聴覚障害者は、たとえ、課題を完遂していたとしても、一部のデモや吹き出し教示は見ずに課題を達成していたことが判明した。このことは、e-learning教材の使用方法をまず正しく教える、あるいは、正しく利用できるように教材をデザインすることが必要であることを示している。
すべて 2011
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件)
デザイン学研究
巻: 58巻 ページ: 105-112
Proceedings of the Global Conference on Learning and Technology
巻: (CD-ROM) ページ: 1402-1408