尺度の改良を行うとともに、欧米における研究・実践を参照して、認知症であることが疑われる人やすでに認知症の診断を受けた人に対する支援の在り方について検討した。 具体的には、約束や物の置き場所を忘れたり、日常生活面に衰えがみられる等の認知症を疑わせる様子が見られるようになったら、まずは定期的な記録を開始するのがよいこと、記録様式として知的障害者用MOSESやDSQIIDなどの尺度が有用であること、また、最初に相談する医療機関は地域のかかりつけ医や主治医でよいが、なじみのある医療機関がない人は『認知症疾患医療センター』の利用も考えられること、認知症の症状がみられる場合でも、実際には認知症以外の治療可能な病気であったり、治る認知症の場合が少なくないので、できれば基本的な検査は受けるのが望ましいこと、などを提言した。 また、診断後の生活に関して、初期から後期までの各段階で現れやすい症状、生活上の留意点、日中活動の工夫についてまとめた。具体的には、初期のうちに身体疾患を治療したり舗装具等を調整するとともに、将来の生活や支援体制の検討に役立つ情報の収集を開始しておく方がよいこと、中期の家族や身近な支援者が燃えつきやすい時期には、各種サービスの利用が特に重要であること、後期の自発・応答ともに少なくなった時期にも、本人に対する受容的、応答的な声掛けが有用であることなどを提言した。
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