本研究の目的は、有限群のmod p コホモロジーとp-部分群に関する内部構造との関係について、表現論の視点から考察することである。従来、代数的位相幾何学的な立場からは群の分類空間とホモトピー論の手法を用いた研究がなされている。本研究は、有限群のモデュラー表現とバーンサイド環の表現論を通して、群の構造、コホモロジー論、ホモトピー論の間の関係を解明しようとするものである。ただし pは素数とし、多元環や加群、コホモロジーは全て正標数pの体を係数とするものである。 本年度は、有限 p-群 Pの両側バーンサイド環上の加群の構造を調べ、コホモロジーの両側バーンサイド環上の加群としての組成因子について研究を行った。バーンサイド環の既約加群は、Pの部分群とその外部自己同型群の群環上の既約加群である条件をみたすものより構成されるが、その中でも特に、真部分群から誘導されずP自身の外部自己同型群の表現から得られるものに重点をおいて研究を行った。Pの真部分群から構成される加群については、その真部分群の両側バーンサイド環のコホモロジーへの作用から、帰納的に情報が得られる。 本年度は特に、pを3とし、位数が27で各元の位数が3である非可換3-群Pのコホモロジー環について解析を行った。このコホモロジー環は非常に複雑な構造を持っているため、バーンサイド環の作用で閉じている部分環で、より単純なものを考察した。中心による剰余群のコホモロジーから膨張写像により得られる部分とPの中心からのノルム写像により得られる元で生成される部分環に着目し、各既約加群を、部分加群の剰余加群として具体的に構成し、真部分群からは得られない既約加群(素体上の2次一般線型群の既約表現に対応し6種ある)が、次数6、8、10、12、14、16の部分に現れることを証明した。これらの結果は一般の奇素数pについて、同様のp-群に対して成立していることが予想される。
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