研究課題/領域番号 |
21540013
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
安田 正大 京都大学, 数理解析研究所, 助教 (90346065)
|
研究分担者 |
近藤 智 東京大学, 数物連携宇宙研究機構, 特任助教 (30372577)
平之内 俊郎 広島大学, 理学研究科, 助教 (30532551)
|
キーワード | 代数学 / 数論幾何学 / ガロア表現 / ラングランズ双対性 / クリスタリン表現 / 既約許容表現 |
研究概要 |
研究代表者は山下剛氏(豊田中央研究所)と共同研究を行い、p進数体の階数2のクリスタリン表現の法p還元の計算を、Hodge-Tate重さの差が(p^2-1)/2以下の多くの場合に、Wach加群を具体的に構成する事により行った。保型性持ち上げ定理の適用の際には、ガロア表現の局所変形環の既約成分の構造を知ることが必要になるが、このような表現の法p還元の計算は、ガロア表現の局所変形環の既約成分の決定のためた重要なものである。従来Hodge-Tate重さの差が2p+2以上の場合は、クリスタリンフロベニウスのトレースが0に近いかp進単数に近い場合しか、法p還元の計算方法が知られていなかった。超幾何多項式という、この分野では従来使われていなかった道具を用いると、Wach加群の構成が可能になることが本研究を通じて明らかになった。これは新境地を切り開く画期的な成果であり、整係数p進Hodge理論に新しい展開をもたらすことが期待される。 ラングランズ双対性の理解のためにはL因子、イプシロン因子の理解が重要である。研究代表者は、分担者の近藤智との共同研究を通じて、局所体上のGL_dの既約許容表現の局所L因子、イプシロン因子をHecke代数の作用の固有値を用いて分かりやすく記述することに成功していたが、この研究をさらに推し進め、既約許容表現がmiraholic型の合同部分群に関する不変ベクトルを持つための必要十分条件をさまざまな視点から記述した。 分担者の近藤は、ラングランズ双対性に関する情報収集のため、伊原のICM講演で触れられている絶対ガロア群と共形場理論の類似について考察し、所属機関の研究員による共形場理論のセミナーを行った。さらに保型側の局所的な表現論についての研究代表者との共同研究に関する講演を、整数論ではなく可積分系の聴衆に対し行った。 分担者の平之内は平山聖司氏との共同研究を行い、ふたつの楕円曲線の積に対するcycle写像の像を決定した。また、完備離散付値体に対するMilnorK群に付随するfiltrationの構造を求めた。
|