研究概要 |
対称群のモジュラー表現論を非線型微分方程式系に応用することを念頭に置いて研究をおこなった.最初に,前年度までの研究に於いて導入された「混合基底」の性質をさらに詳しく解析した.通常のシューア函数基底との間の変換行列,および「カルタン行列もどき」について精密な議論をおこなった.表現論的な意味付けが今後の課題である.昨年の9月頃,ずいぶん前に出版されたLascoux-Leclerc-Thibonの論文を見ていてあることに気がついた.論文の最後に付録として載っている「Shapovalov形式のグラム行列」の行列式がきれいな形に因子分解する,という観察である.大学院生の協力を得てずいぶん計算実験をしてみたところ,どのように因子分解するかの予想がついた.行列式のみならず,もっと精緻に単因子の予想もたち,現在はその証明に向けて努力中である.岩堀ヘッケ環の表現論や,アフィンリー環の基本表現の深い部分と密接な関係があることは明白である.証明にどのような道具が必要なのか,模索している.とりあえずヤング図形の組合せ論に関係する部分について,ひとまとまりの結果が証明されたので論文を準備しているところである.
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