研究概要 |
1. 本研究の目的は,「保型L-関数の局所理論の再構築」である。即ち,比較的小さい群U(3), GSp(4)の保型L-関数に対し,その分岐L-因子/ε-因子を,数論の局所的/大局的問題への応用に耐えうるレヴェルにまで明示的に研究する。本年度の研究計画は,次の通り; (A) 積分表示の局所関数等式からε-因子と"解析的導手"を取り出し, (B) 表現の分岐度合を計る"代数的導手"との関係を解明する。 2. 八月京都大学に於いてWorkshopを執り行い,基本となる群GL(n)の場合に,知られている結果の分析と拡張に当たっての問題点/その解決方針等について,本課題共同研究者を含む国内の専門家と研究討議を行った。(A) については,GL(prime)の場合に,Godement-Jacquet積分から"解析的導手"を計算した。U(3)のSteinberg表現の場合には,Whittaker関数の明示公式及びそのゼータ積分による標準L-関数の分岐因子は得られたが,経絡作用素の計算で研究が停滞している。井草局所ゼータに帰着されるべきとの方針で継続中である。(B) については,分岐度合を測るコンパクト群からのアプローチを継続した。GL(Prime)の場合には,条件付きでは知られていた過去の結果に一致することが確かめられた。 3. 研究分担者の研究成果は,以下の通りである。森山は,GSp(4 ; R)の場合にWhittaker模型の一意性についての結果を得た。宮内は,p-進U(3)の場合に超カスプ表現がWhittaker模型を持つ条件を同定した。また安田は,Galois表現のε-因子について論文を公表した。
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