研究概要 |
1.本研究の目的は,「保型L-関数の局所理論の再構築」である。即ち,比較的小さい群U(3),GSp(4)の保型L-関数に対し,その分岐L-因子/ε-因子を,数論の局所的/大局的問題への応用に耐えうるレヴェルにまで明示的に研究する。本年度の研究計画は,次の通り; (A)積分表示の局所関数等式からε-因子と"解析的導手"を取り出し、 (B)表現の分岐度合を計る"代数的導手"との関係を解明する。 2.十一月白馬に於けるWorkshopにMcNamara氏を招聘し,被覆群GL(η)のWhittaker関数の明示公式について,解説と拡張についての示唆を受けた。上WSを含む多々の研究集会に於いて,本課題共同研究者を含む国内外の専門家と研究討議を行った。(B)については,U(3)の場合に分岐度合を測る良いコンパクト群族が,宮内により提唱された。彼は,この族から定まる"良い"Whittaker関数の存在と一意性を示した。(A)については,Gelbart-PS積分が期待される関数等式を持ち,宮内の示したWhittaker関数に対し,ε-因子が取り出せることが判った。このε-因子が,定数倍("根数")を除いて,望まれる形であることも判明し,"解析的導手"の候補が定まった。"根数"の問題については,次年度への継続課題とする。 3.研究分担者の研究成果は,以下の通りである。森山は,GSp(4;R)の場合にBessel-Whittaker模型について研究した。宮内は,P-進U(3)の場合に上(B)に基づき"代数的導手"の候補を見付けた。また安田は,Galois表現のL-/ε-因子のHecke固有値による表示を得た。
|