研究概要 |
1. 対称群のガウス和についてまず研究を行った。ガウス和はモジュラー表現と通常表現の対に対し定まりモジュラー表現が定める加法的な複素数値類関数の通常既約指標によるフーリエ展開の係数、フーリエ係数、と見ることがきる全ての有限群に対して定まる基本的な量である。有限線型代数群については、それぞれの自然なモジュラー表現に対するガウス和について、当研究代表者のものを含め先行する研究がある。しかし代表的な有限群である対称群については、十分には研究されてこなかった。本研究の成果として、対称群の場合にガウス和を次のように表すことができた。 定理 1の原始p乗根をz、既約表現に対応するヤング図形をYとする。このとき置換表現をp元よりなる素体上のモジュラー表現と見なしたとき、Yが定める既約表現に対応するガウス和はYの部分図形Y'でY-Y'が水平帯となるものついて、(Z-1)|Y'|/h(Y')の和を取ったものとなる。ここでh(Y')はY'のフック積である。 2. 上の結果を複素鏡映群G(m,1,n)について拡張した。これは特にB型ワイル群に対する結果も含む。さらに全てのワイル群について、モジュラー表現を鏡映表現としたときに、ガウス和の具体的表示を得た。 3. 交代群について1の結果を拡張することは容易である。全ての散在型単純群についても、そのガウズ知を簡潔に表す式を知りたい。例えばマシュウ群については、計算は容易であるが、対称群のようには簡潔に表すことはできない。部分群とその表現の列で表わされるはずで、その具体的な表示について現在研究中である。また有限線型代数群についても研究を継続中である。 4. 群の表現は群環の表現なので、ガウス和については自然に環についても拡張できるはずである。その意味で、ヘッケ環、および量子群についても、例の計算を中心として研究をしている。
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