研究概要 |
二元体のd+1次元拡大F上のAPN関数fにはsemibiplaneのインシデンスグラフと呼ばれる性質を持つグラフ構造が付随する.これを以下G(f)と書く.またF上のquadraticなAPN関数fには二元体上のd次元双対超卵形が付随する.以下S[f]と書くが,これは代表者の研究課題である高次元の双対弧の特別な場合である.「11.研究発表」に記載した論文において,これらの組合せ構造を定義し,次を示した:F上の二つのAPN関数fとgがCCZ-同値であることと,G(f)とG(g)がグラフとして同型であることは同値であり,F上の二つの二次的APN関数fとgが拡大アフィン同値であることと双対超卵形S[f]とS[g]が双対超卵形として同型であることは同値である.この成果に基づいて,次の予想(Y.Edelによる)を解決した.「有限体F上の二つのquadratic APN関数に対して,それらがCCZ-同値であることと拡大アフィン同値であることは同値である」 二つの関数が拡大アフィン同値であるか否かの検証は,それらがCCZ-同値であるか否かの検証に比べてかなり容易である.2006年以来発見されている新しいAPN関数の無限系列がすべてquadraticであり,それ以外の無限系列はすべてべき乗関数にCCZ-同値であることから,この結果は,今後発見されるであろうAPN関数が本当に新しいものであるかどうか検証するときに,その労力を軽減するという意義を持つ.
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