研究概要 |
平成23年度の研究目標は次の3点であった.以下「双対超卵形」をDHOと略記する.Huybrechts双対超卵形以外に知られているPG(d(d+3)/2.2)中の単連結双対超卵形の無限系列がBuratti-Del Fra DHO,Veronesean DHO,Taniguchi DHOの3種類あるが,そのそれぞれに対して,(1)その商であるための判定条件を与える(2)商の具体例を構成する(3)商を通じてAPN関数の類似と考えられる関数が構成できるかどうか検討する. Buratti-Del Fra DHOについては,香川高専の谷口浩朗氏との共同研究により上記目標の(1)-(3)に関して次の成果を得た.(1)Buratti-Del Fra DHOの商であるための判定条件が加法公式の形で得られた.(2)具体的な商として生成空間の次元が2nの2元体上のn-DHOを構成した.(3)(2)で構成したDHOは奇標数の平面関数として1997年頃発見されたCoulter-Matthews関数及びその拡張として2007年頃発見されたDing-Yuan関数の偶標数版と言える関数に基づいて記述できることが確認された.これらは当初計画した目標がBuratti-Del Fra DHOに対してはおおむね達成されたことを示す.成功の秘訣は,従来非常に面倒な構成法を経由して得られていたこのDHOの極めて簡単な構成法を見出した点にある.この構成法はBuratti-Del Fra DHOとHuybrechts DHOの類似が単に見かけだけのものではなく,関連するsemibiplanesの普遍被覆空間が同一であることを示す点でも重要である.これらの成果はEuropean Journal of Combinatricsに掲載予定である. 一方,Verosnesean DHOに関しては簡単な良い記述が得られ,目標(1),(2)に関する成果が得られた。残るTaniguchi DHOに関しても加法公式と緊密に結びついた,従来のものより遙かに簡易な構成法が得られ,目標(1)に関する結果が得られた.
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