平成24年度の目標としてあげた、一般の DHO に関する部分 DHO による直和という概念に関する一般理論を構築することが出来た。この一般論では、2元体上の bilinear DHO という特別のクラスに対して Journal of Algebraic Cominatorics に出版予定のEdel と Dempwolff による論文で与えられた構成を一般化している。結果は現在論文の形にまとめているが、DHO の直和という観点から現在知られている4つの単連結 DHO を実例として記述中である。その過程で、高松高専の谷口浩朗氏との共同研究において、これらの4つのDHO を統一する記述を見出した。特に、谷口氏が構成した Verosnese DHO の微小変形のはっきりした表示が得られた。この結果は European Journal of Combinatorics (2013年)に出版予定である。 更に、非線形関数との関連において新しい成果を得た。すなわち、quadratic APN 関数が 単項式で与えられる APN 関数と CCZ-同値であるための強い制限条件を得た。特に、このような quadratic APN 関数は Gold 関数と EA-同値になる。この結果を適用して、現在知られている単項式で与えられる APN 関数と quadratic APN 関数との同値性問題がかなり完全に解決できる見込みであるが、Kasami 関数との同値性に関する問題が残されている。
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