本年度に得られ主たる研究業績を以下に説明する: 2つの有限次代数体に付随するデデキントゼータ函数が一致するとき,その2つの代数体は算術的同値であると言われる.デデキントゼータ函数は,その代数体の数論的性質を深く反映しているが,それによって完全に代数体の同型類を特徴付けできる訳ではない.即ち,互いに算術的同値であるが同型でないような2つの有限次代数体が存在することが知られている.そこで,代数体の如何なる数論的性質がそのデデキントゼータ函数を特徴付けるか,という問題が大いに興味を惹くことになる.本年度ではこの問題に対して,有限次代数体のある種の制限分岐拡大の族がデデキントゼータ函数を決定し,またその逆も然りであることを示すことに成功した.
|