研究概要 |
1990年に,有限G-集合のカテゴリーの充満部分カテゴリーの直和に関するグロタンディーク群に,ある種の積を定義し,その代数を一般バーンサイド環(以下GBRと書く)と呼んだのは吉田知行氏である.以来,対称群のヤング部分群のGBRと対称群の既約モジュラー表現との関係,任意の有限群の中心的p-部分群に関するGBRとフュージョンシステムとの関係について等の結果が吉田氏や研究代表者である小田により得られていた.千葉大学の澤辺正人氏との共同研究により,任意の有限群の中心的p-根基部分群の正規化群の族がGBRをつくるという結果が得られた.この結果は雑誌Advances in Mathematics(Elsevier)に掲載された.この論文の主定理は,任意の素数pにおけるリー型と呼ばれる無限系列をなす有限群,p=2における,モンスター単純群M,コンウエイ単純群Col,マシュー群M24等の重要な有限群に対し適用可能であることがわかるため,それらの群やその部分群族に関する性質を導くことが可能になるので意義深い,その結果を「代数的組合せ論シンポジウム」,「有限群論草津セミナー」,「有限群のコホモロジー論の研究」で講演した.さらに,有限p-群のカテゴリーから得られる斜バーンサイド環,ドリンフェルトダブルの表現環およびデイド群の間に重要な関係(p-両側集合関手(p-biset functors)間の射)があることを指摘した論文が雑誌Algebras and Representation Theory(Springer)に掲載された.有限群のモジュラー表現論に関する対象(デイド群)とドリンフェルトダブルの表現環との関係を指摘した論文は今までに存在していなかった.
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