研究概要 |
有限G-集合のカテゴリーの充満部分カテゴリーの直和に関するグロタンディーク群に,ある種の積が定義された環は,吉田知行氏により「一般バーンサイド環」(以下GBRと書く)と呼ばれた.有限群Gの自己正規化部分群全体にG-共役の作用の構造を付加した族のGBRは,その族の表現論的構造(単位元がレフシェッツ加群を引き起こす),トポロジカルな構造(単位元が誘導するレフシェッツ加群からオイラー標数が計算できる)に深く関与することが千葉大学の澤辺正人氏との共同研究により明らかになった.その結果を発表した研究集会「有限群のコホモロジー論の研究」の報告集が出版された.トポロジカルな結果により,そのオイラー標数がGのp-中心的部分群のものと一致することがわかる.モンスター単純群,コンウエイ単純群,マシュー単純群についての計算結果も報告されている.この結果をスイス連邦工科大学ローザンヌ校で行われた研究集会「Group Representation Theory and Related Topics」で講演した.さらにその集会後におこなわれた連続講義に参加し知見を広めることができた.既存の丹原関手に可換なG-モノイドによるドレス構成を施すことにより新たな丹原関手が得られるという主結果に関して述べた論文が雑誌Journal of Algebra(Elsevier)に掲載された.特にGのバーンサイド丹原関手に,G-共役の作用のモノイドで主定理を応用することにより乗法的誘導をもつ斜バーンサイド環が得られることがわかる.
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