研究概要 |
ある種の岩澤代数をモデルとしその環論的性質を抽象化し,フィルター擬コンパクト多元環の概念を得た。この多元環の特徴は位相代数の位相の側面をフィルターから誘導された位相により取扱い,代数化したことである。これにより基礎環上のマトリス双対を次の2つの圏の間に拡張した: {有限生成擬コンパクト加群のなす圏}⇔{有限余生成余擬コンパクト加群のなす圏}そのために,以下のような流れで研究を進めた: 1フィルターから誘導された位相の基本性質の研究 2擬コンパクト加群,余擬コンパクト加群の定義と性質の研究 3マトリス双対と順,逆極限との両立 4上の2つの圏の間にマトリス双対が成り立つ事の証明 以上をアウスランダー正則な場合に応用し,アウスランダー・ブックスバウム公式が成り立つことを証明し,局所コホモロジー加群を定義した。更に,ホモロジー的に「深さ」の概念を与える事ができた。局所コホモロジー加群とエクステンション群とを結びつける局所双対の成り立つ事を示した。 フィルターに付随する次数環上の次数加群について上記の結果が拡張されるかが研究の次の段階である。
|