研究課題/領域番号 |
21540035
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
西田 憲司 信州大学, 理学部, 教授 (70125392)
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キーワード | ネータ多元環 / ゴレンステイン多元環 / ゴレステイン次元 / 余シジジー |
研究概要 |
非可換ネータ多元環についてフィルター環の手法とホモロジー代数学の理論の応用により構造および表現の研究を行った。ホモロジー代数学の基盤である、Ext群について、特に、その消滅、非消滅を研究した。対象とする環は、可換ネータ環上のコーエン・マコーレイ(以下、CM)多元環Aとし考える圏はA上のCM加群のなす圏(およびその部分圏)である。CM多元環A上の安定圏(任意の環について成り立つ)にはシジジー関手が作用するがその逆、または'余'作用ともいえる余シジジー関手をCM多元環に対し構成した。余シジジー関手を含む、特徴的な完全系列も構成した。シジジーにより構成される、加群の射影表示の環論的双対は入射表示であるが、この場合CMでない加群が出るため、余射影表示が望ましいのであるが、上記完全系列を用いて、求める表示の構成を行った。この表示はどの多元環に対してもあるとは限らないので、どのような条件の下であるかを調べることになる。この条件にはAuslanderによる転置関手(Transpose)が使われる。そこで転置関手に関連し、Ext群の消滅により定義される部分圏、加群の普遍量を調べた結果;加群MのExt群が1~kで消滅する部分圏B(k)と加群TrMのExt群が1~kで消滅する部分圏C(k)の間には安定圏の間の互いに逆となる関手がある、そしてそれは、シジジー、余シジジーをk回施した関手であることが得られた。余射影表示とゴレンステイン次元有限、特にゼロ、の加群との密接な関連の下に、完全分解の構成、Tateコホモロジー群の構成などホモロジー理論的に重要な課題が見出された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ネータ多元環の研究方法をフィルター環に適用する際のずれが予想以上に大きいことがやや遅れている理由である。ゴレンステイン性の中でも特に良い性質である、対称性のような性質の考察が有効ではないかと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
対称多元環及び接合積であるようなフィルター環について表現を研究する。ネータ多元環においてゴレンステイン次元、余シジジー、余射影表示および関連する部分圏を研究しTateコホモロジーの構成を目指す。
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