研究概要 |
可換環kと小圏Iを固定しk圏全体のなす2圏をk-Catで表す。またk三角圏全体のなす2圏をk-Triで表す。Iからk-Catへの反転ラックス関手全体とその間の左変換全体および左変換の間の射全体からなる2圏をOplax(I,k-Cat)で表す。各反転ラックス関手X:I→k-Catに対して、その"加群圏"Mod Xを反転ラックス関手I→k-Catとして、また、"導来圏"D(Mod X)を反転ラックス関手I→k-Triとして、自然に定義することができることを示した。Oplax(I,k-Cat)およびOplax(I,k-Tri)の2圏構造を用いて、それぞれの対象間の同値が定義される。Oplax(I,k-Cat)内の2つの反転ラックス関手X,X'は、D(Mod X)とD(Mod X')がOplax(I,k-Tri)のなかで同値であるとき、導来同値であると定義する。また、Iのすべての対象iと、X(i)のすべての対象x,yに対してX(i)(x,y)が平坦なk加群であるときXをk平坦とよぶ。次の2つの定理が得られた。定理1:「X,X'を上の通りとし、次の2つの条件を考える。(1)XとX'は導来同値;(2)Xに対する傾斜反転ラックス関手Tで、TとX'がOplax(I,k-Cat)のなかで同値となるものが存在する。このとき(1)ならば(2)が成り立つ。また、X'がk平坦であれば、逆も成り立つ。」定理2:「上において(2)ならば、Xのグロタンディーク構成Gr(X)とX'のそれGr(X')は導来同値である。」定理1は、環の導来同値に関するリカードの定理を反転ラックス関手へ一般化するものであり、定理2は、昨年度得られた定理の反転ラックス関手への一般化となっている。定理1と2より「XとX'が導来同値ならば、Gr(X)とGr(X')も導来同値となる。」
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