研究概要 |
科研実施最終年度である平成23年度では,「一般Almost比較可能性・一般S-比較可能性・弱比較可能性」を持つ比較可能系正則環全般に関し「有限性問題・行列環問題・射影加群削除問題・環の構成法」の解明に取り組んだ。特に,この科研実施初年度に得られたAlmost比較可能性に関する研究結果を踏まえ,その一般化概念である「一般Almost比較可能性」を持つ正則環研究に焦点を合わせ,上記問題の解明に取り組み,次の有用な成果を得た。最初に行列環問題を取り扱い,一般Almost比較可能性を持つ正則環の行列環は,常には一般Almost比較可能性を持たないことを示すと同時に,一般Almost比較可能性を持つ正則環の型分類結果を用いて,どの種の一般Almost比較可能性を持つ正則環の行列環が再び一般Almost比較可能性を持つかを決定し,行列環への一般Almost比較可能性移行問題の解決を与えた。このことは,筆者が提起した「行列環問題」に対する最終的な研究結果を与えると共に,「一般Almost比較可能性を持つ正則環の構成方法」をも与えたことを意味する。次に,正則環に関する未解決問題「正則環はSeparative性を常に満たすか」に取り組み,「一般Almost比較可能性を持つ正則環は,常にSeparative性を満たすこと」を証明し,比較可能系正則環における意義深い結果を与えた。関連して,一般Almost比較可能性を持つ正則環は,「Strict unperforation property」という射影加群削除性を持つことも合せて証明した。これらの結果を筆者は,今年度6月末に韓国で開催された「第6回日中韓環及び加群論国際会議」において,正則環に関する最新研究結果として講演発表を行う共に,その詳細な内容を報告集で公表した。
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