研究課題/領域番号 |
21540044
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
宮崎 誓 佐賀大学, 工学系研究科, 教授 (90229831)
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研究分担者 |
市川 尚志 佐賀大学, 工学系研究科, 教授 (20201923)
寺井 直樹 佐賀大学, 文化教育学部, 教授 (90259862)
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キーワード | 代数幾何学 / 可換環論 / 射影多様体 / Castelnuovo / 自由分解 |
研究概要 |
射影多様体は射影空間での有限個の斉次多項式の零点集合であり、幾何的性質と代数的性質の関連について研究を進めています。定義方程式のつくるイデアルの性質はシジジーにより反映されています。一連の研究はシジジーと多様体の幾何学的不変量との関係を調べるものです。本研究はシジジーを制御する代数的不変量であるCastelnuovo-Mumford正則量に焦点を当てています。今年度はBuchsbaum多様体について、正則量の上限に近い場合の分類の方法について進展を目指しました。上限に近いグループから順に、有理線織多様体、Del Pezzo多様体と進んで、次のクラスの研究を始めました。Del Pezzo多様体の場合は今年度掲載された論文に結果を書いています。一般論を目指すと同時に、射影多様体の割線と正則量の関係にも研究の方向は向かっています。つまり、割線の存在により、正則量は制限できるのではないか、いわゆるEisenbud-Gotoの期待される上限に近い射影多様体のクラスと割線の関係などを調べ始めたところです。また、射影空間のSegre積上のベクトル束について、それが直線束の直和になるためのコホモロジー的な判定法を考えており、進展しました。いわゆるHorrocksの判定法の一般化です。つまり、多重射影空間上のベクトル束に対して、Horrocksの判定法が拡張できるか、という問題です。多重射影空間上のCastelnuovo-Mumford正則量について、Hong-WangおよびMaclaganの定義がありますが、これではうまくいきません。この研究はBallico-Malaspinaの研究で見られたSegre積上のCastelnuovo-Mumford正則量の巧みな定義を利用した結果です。これらの研究を下地にして、ベクトル束の大域生成に対して、うまく正則量を用いました。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
射影多様体のCastelnuovo-Mumford正則量の上限に近い多様体の分類はBuchsbaum多様体の場合の進展があった。多重射影空間の場合の研究は現在進行中である。
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今後の研究の推進方策 |
多重射影空間の場合のCastelnuovo-Mumford正則量の研究を推進する予定である。Eisenbud-Goto予想に直接関係した研究は、かなりの困難さを伴うが、端線と正則量の関係あたりから着実に研究を進めたい。
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