代数曲線の退化ファイバー芽に対して、モノドロミー、モジュライ写像、安定還元、オービフォールド符号数、エータ不変量等の重要な概念を経由して我々の中心テーマである「局所符号不足数」を定義することができ、且つ明示公式を与えることができて、それを「11欄」にある論文において発表した。 この研究の中で大きな役割を果たしたDedekind和に関するMyerson-Holzapfel公式の幾何学的意味を考察しているうちに、それと深く関連すう巡回商特異点と連分数の関係について次のような思わぬ有意義な視点を得ることができた。 すなわちDedekind和を有限負型連分数によって記述するのが上記の古典的な公式であるが、我々はまず「高次元連分数」なるものを、ある種の非可換多項式として幾何的に自然な形で定義しておき、それが巡回商特異点の自然な解消を統制するようにする。するとオービフォールド符号数の具体的計算を通じてZagier和(これはDedekind和の自然な高次元化として定義されたものである)を、この高次元連分数によって表現することが可能になる。 平成22年度の成果としては、これに関する基本的アイデアとそれのいくつかの発展方向へのシーズとなる公式の原型を得ることができた。これを今後継続して研究していきたい。
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