研究概要 |
Gorenstein 孤立商特異点は、次元が奇素数であれば巡回商特異点であることを証明することに成功した。つまり「奇素数 n に対して、SL(n,C) の有限部分群 G で単位行列以外の G の元は固有値 1 を持たないとき、G は巡回群である」を示した。 Cox環のようなZ~n型の次数環に関しては、その因子類群や標準加群の記述に関して様々な研究がある。ここでは、N~n型の次数環に関して、因子類群や標準加群の記述を行った。次数半群N~nの境界で定義される因子分だけZ~n型の次数環とは違った結果が出てきた。 超曲面孤立特異点上の二つの有限生成加群のtor_iは、i が十分大きいときは長さ有限であるし(孤立特異点だから)長さは i に関して周期2になる(matrix factorization より)。 Hochster は、その偶数番目と奇数番目の長さの差をテータ不変量と呼び、それを研究した。この論文では、そのテータ不変量は、Grothendieck 群上での数値的同値の同値類上では定数になることを示した。このことから、例えば、テータ不変量の計算によって、3次元の孤立超曲面がUFDでなければ、因子類群はtorsion-freeであり、そこでは必ずDutta-Hochster-MagLauglin型の反例が構成可能であることを証明した。Grothendieck 群やChow群を数値的同値で割ると有限生成の格子が得られる。それに、実数体をテンソルして有限次元ベクトル空間を考える。このことによって、ここで収束・発散などが議論できる。そのベクトル空間の中で、極大コーエン・マコーレー加群の張る錐を考える。この論文では、コーエン・マコーレー錐の基本性質を調べた。応用として、様々なHilbert-Kunz 関数の例を構成することに成功した。そのような例が存在するかどうかは、知られていなかった。
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