研究概要 |
特性類の局所化に関する従来からの研究を継続し,特に特異多様体の特性類の研究への応用の集大成として,共同研究者J.-P.Brasselet, J.Seadeとの共著のLecture NotesをSpringerより出版した. 従来の局所化理論はChern類に基づくものであった.本研究はこれをAtiyah類を用いて新しい観点から発展させるものである. これに関しては,まず正則ベクトル束のAtiyah類を簡明な形で再構成し,Cech-Dolbeaultコホモロジー,種々の双対準同型写像を導入し,局所化理論を展開した. 正則ベクトル束の最高次Atiyah類の切断による局所化の基本的場合として,複素解析的Thom類の概念を導入し,Thom型の同型定理を証明した. 特異葉層構造の留数理論において基本になるのはBott型の消滅定理であった.M.Abate,F.Bracci,F.Tovenaとの共同研究において,Atiyah類を用いた場合には積分可能条件なしに同様の消滅定理が成り立つことを証明した.これを用いて,葉層構造より一般に特異分布の留数理論を展開し,新しいAtiyah留数を定め,具体的例につてもこれを求めた.さらに,この理論の特異複素接触構造,複素力学系等への応用について研究を行っている.
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