研究概要 |
特性類の局所化に関する従来からの研究を継続した.従来の局所化理論はChern類に基づくものであったが,特に本研究はこれをAtiyah類を用いて新しい観点から発展させるものである. 1. Atiyah類の局所化に関しては,M. Abate, F. Bracci, F. Tovenaとの共同研究において次のような基礎理論を確立した : (1)局所化に適したAtiyah類の簡明な定義,(2)Cech-Dolbeaultコホモロジー論の展開,(3)複素解析的Thom類の導入,(4)Bott型の消滅定理の証明. 特に上記(4)はAtiyah類を用いた場合には積分可能条件なしに成り立つことを証明した.これを用いて,葉層構造より一般に特異分布の留数理論を展開し,新しいAtiyah留数を定め,具体的例についてもこれを求めた.これらは共著論文として纏められ,Revista Matematica Iberoamericanaへの掲載が確定している. 2. ベクトル束の準同型写像の退化問題に関し,Thom-Porteous公式を退化集合に局所化する試みを連携研究者大本亨と開始した.これはChern類のSchur多項式の普遍的局所化をCech-de Rhamコホモロジーに適合させたChern-Weil理論を用いて構成するもので,ベクトル束のThom類の大幅な拡張であり,様々な発展,応用が期待される. 3. 完全交叉多様体上のベクトル場に対し,多様体の法束の自然な枠を用いた新たな指数の定義を与えた.これは位相幾何学的に定義されたGSV-指数,申請者等によりChern-Weil理論を用いて定義された仮想指数とも一致しこれらの指数の新たな解釈,計算法を与える.
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