研究概要 |
ポアソン核を許容するアダマール多様体Xに対してXからXの理想境界 ∂X 上の絶対連続かつ正値密度を有する確率測度のなす空間P(∂X)への写像, すなわちポアソン核写像φ, のリーマン幾何学・情報幾何学的考察を行った。φがフィッシャー情報計量とXの計量に関して比例的かつ極小的であると仮定すると, ポアソン核がビューズマン関数を肩にもつ指数関数表示でき, その結果Xは漸近調和(すなわち, 各ビューズマン関数のラプラシアンが共通の一定値をもつ)かつ可視的(すなわち, 理想境界∂Xの任意の2点を結ぶ測地線が存在する)である。さらに比例定数の値は各ビューズマン関数の超曲面である各ホロ球の平均曲率に一致することがわかるが, 本研究においてこの比例定数がさらにXの体積エントロピー(各測地球の体積の指数関数的増大度を測る指標)に一致することを示すことができた。
|