研究概要 |
ホモロジーシリンダーを結び目補空間にもつ結び目:Homological Fibered knotに焦点を当て,様々な不変量の具体的計算を行った.Homo logical Fibered knotのうち,Fibered knotでない結び目は交点数12の結び目から現れ,交点数が12のものは13個ある.この13個の結び目の補空間のマグナス表現から得られる不変量,トーション不変量およびジョンソン-森田準同型写像から得られる不変量の計算に成功した.その結果,これらの非ファイバー性がこれらの不変量いずれによっても判定出来ることがわかった.特にジョンソン-森田準同型写像については,その第2準同型のみで判定できたことは少々意外であった.これらの計算の一部はコンピュータを使った計算によってなされた.これらの不変量の具体的計算例は極めて少なく,今後この分野の発展には欠かせない具体的例が得られたと考えている.これらの結果は今現在,論文にまとめているところである. また,ホモロジーシリンダーがなすモノイドのアーベル商が有限生成でないことを,suturedフロアーホモロジーを使って証明した.写像類群のそれが一般に自明であることから,ホモロジーシリンダーのモノイドが写像類群と比較して非常に大きいことが判明した.Suturedフロアーホモロジーの写像類群に関わる問題への応用は世界的にみて初めてであると思われる.この成果についてはすでに論文にまとめ投稿中である.これらの結果を6月にカリフォルニア大学デービス校で行われた国際会議,9月に大阪大学で行われた日本数学会,3月に広島で行われた研究集会にて発表した.
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