| 研究概要 |
デーン手術によって双曲的な結び目から双曲的でない3次元多様体が"例外的に"生じる現象は「例外的手術」と呼ばれ、低次元多様体論の一分野である。これを4次元多様体の構成に応用することを目標としている。本年度は前年までの成果の公表と,この研究の基礎に立ち戻ることに力点を置いた。具体的には:1.例外的手術を生じる結び目のdivide表示に関して論文が掲載された。その成果を含む総説を研究集会(中国)で招待講演した。Divide knot理論の創始者であるA'Campo氏の来日で最新情報を取り入れた。2.4次元多様体の同相分類に関するFreedmanの原論文を理解する集会を企画し世話人を務めた。一般トポロジーの専門家から多大な協力をいただいた。これに関して、筑波大で4次元多様体の表示法について解説講演の機会をいただいた。資料webを作成した。3.森元勘治氏との共著論文が学術誌に掲載された。4.門上晃久氏と議論を進め共著論文の共同執筆し,3月の数学会で概要を報告した。
研究分担者の研究について:山口氏は無限次元写像空間を、多項式で表現される代数的写像(regular map)の成す有限次元部分空間でホモトピー型がどの程度まで近似できるか研究を進めた。大野氏は多項式環の有限群による不変式環の生成元および生成元の間の関係式を求めるアルゴリズムについて研究した。廣瀬氏に種数3以上のハンドル体の写像類群の実係数の1次ホモロジー群が0になることを示し,その帰結として種数5以上の場合のNielsen実現不可能性を示した。上記1.と写像類群との関連は特に興味深い。
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