Coarse幾何学における次元論を主にasymptotic次元論の立場で研究を進めたが、埋蔵問題の重要性に行き着き、「どのようなn次元コンパクト距離空間がn個の1次元コンパクト距離空間の積空間へ埋蔵することが可能か」を様々な角度から研究を進め、埋蔵可能なn次元多様体及び一般多様体の幾何的構造をその1次元コホモロジー群の整数加群としての階数から決定することを試みた。また、一般のn次元コンパクト距離空聞Xについても、その判定条件をn次元チェックコホモロジー群の自明性と1次元チェックコホモロジー群の階数の関連から研究した。その結果、主定理の1つとして「n個の1次元コンパクト距離空間の積空間へ埋蔵することができるn次元多様体は単体分割可能であり、次を満たす: (1)1次元コホモロジー群の整数加群としての階数はn以上; (2)その階数がn+k、k<n、ならばその多様体はn-k次元トーラスとの積へ分解できる; (3)その階数が丁度nならばn次元トーラスである。」 がある。またこの成果を1次元コンパクト距離空間のn次対称積の場合への埋蔵問題へ応用するために、グラフのn次対称積のホモトピー型を決定するなど、1次元コンパクト距離空間の対称積のコホモロジー群の構造を決定することに成功した。連続体理論でも、n次対称積の概念はやや異なる形で研究されているが、そのホモトピー型の決定にも問題を拡張した。その第一歩として円周の対称積のホモトピー型を決定した。 コホモロジー次元論をHigsonコンパクト化の境界の(コホモロジー)次元論へ応用するために距離付けできない一般のコンパクトHausdorff空間へ拡張することが必要になり、その研究の端緒を見つけることができ、国際学会で発表した。
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