研究概要 |
本年度の研究は、平成21年度科研費補助金応募書類研究計画調書「研究計画・方法」欄および平成21年度科研費補助金交付申請書「研究実施計画」欄に記載した計画に基づいて実施された。 まず、4次元多様体の改変操作とLefschetzファイバー空間の関係については、T.Mark,J.V.Horn-Morris両氏との共同研究により、Fintushel-Sternの有理ブローダウンに対応する写像類群の関係式をすべて発見することができた。これにより、本年度の当初の目的はひとまず達成されたと考えてよい。現在、一般化された有理ブローダウンに対応する関係式を発見すべく研究を継続している。また、chain関係子、start関係子、松本関係子などに対応する4次元多様体の改変についても考察中である。 次に、平成22年度以降の研究実施のための予備的考察については、大学院生の力を借りていくつかの有用な観察をすることができた。Lefschetzファイバー空間のモノドロミーノチャート表示に関しては引野貴之氏(大阪大学大学院生)、broken Lefschetz fibraionの具体例の構成に関しては深水祐次氏(大阪大学大学院生)とともに勉強・研究をする機会に恵まれた。実際に、引野氏はチャートを用いてある種数2のLefschetzファイバー空間の同型を証明し、深水氏は4次元球面や複素射影平面の連結に新しいbroken Lefschetz fibrationの構造を与えている。 尚、lantern関係子と有理ブローダウンの関係を見出したY.Z.Gurtas氏との共著論文は、平成22年3月にアメリカ数学会の学会誌の一論文として出版された。
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