研究概要 |
「研究の目的」にあるように、本研究では、結び目の構造と不変量を局所変形を通じて明らかにし、その発展として、結び目空間の構造を不変量と局所変形の観点から究明することを研究目的としている。「研究目的」にもとづいて研究を実施したところ、この研究により得られた本年度の成果は以下の通りである。 Wendtが導入した局所変形である「交叉交換」と結び目不変量であるAlexander多項式に関する構造の研究をした。同じAlexander多項式をもつ結び目5_1,10_<132>について、交叉交換1回でうつる結び目のAlexander多項式の特徴付けを、岡田雄希との共同研究で与えた。Habiro, Gusarovらが導入したCnmoveの特別な場合であるnon self Cn moveがもたらす絡み目の同値関係を、渋谷哲夫、塚本達也、安原晃との共同研究で与えた。Murakamiが導入した# moveに関する特性について、中村拓司との共同研究で与えた。以上の成果は学術雑誌に掲載、または、掲載予定である 結び目図式から自然に上下交点列が得られるが、どのような列が結び目図式に対応するのかについて研究した。比嘉隆二、佐藤進、山本拓人との共同研究により、結び目図式に対応するための特徴付け、及び、三葉結び目の図式に対応するための特徴付けを与えた。結び目射影図を平面グラフと見なすとき、交点数を十分に増やすとHamiltonグラフになることがDiao-Ernst-Yuにより知られている。比嘉隆二、仲西遼との共同研究により、この交点数をどのくらい増やせばよいのかについての評価を良くした。以上の成果は学術雑誌に投稿準備中である。
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