平成21年度は三次元多様体のHeegaard分解およびそれに関連した次のような研究を行った。 ・ 三次元多様体の二つのHeegaard分解から定まるRubinstein-Scharlemann graphicに関してJesse Johnsonが得ている議論の精密化について考察した。特にScharlemann-Tomovaによって与えられたHeegaard分解の剛体性に関する結果を改良する(条件を弱める)事に取り組んだ。 ・ Strongly irreducibleなHeegaard分解を与えるHeegaard曲面はその三次元多様体内の非圧縮曲面と本質的なsimple closed curvesで交わるようにできることは良く知られているが、この設定において非圧縮曲面を本質的laminationに置き換えた場合にどのような結果が得られるのかについて考察した。 ・ Schubertによって結び目の橋指数が連結和のもとでどのようにふるまうかは完全に解明されている。最近Schultensはこの結果のモダンな証明を与えているが、その議論をタングル内の本質的アニュラスに適用した場合どのような結果が得られるかについて考察した。
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