研究概要 |
本研究課題における平成22年度の研究成果の概要は以下の通りである.本年度は,複素フィンスラー計量を持つ正則ベクトル束の研究と,特殊な実フィンスラー計量の与えられた多様体の研究に焦点を絞って行った,特に,複素多様体上の正則ベクトル束が負の場合は重要で,負曲率のHermite計量との関係について研究し,その結果は南開大学(中国,天津)のChern Instituteで開催された国際研究集会において,講演題目"Some remarks on negative holomorphic vector bundles"として発表した また,特殊フィンスラー計量をもつ実多様体の研究については,特にその多様体がsemi-parallelなベクトル場を許容するとき,多様体の局所的な形状を明らかにすることができた.その結果は論文 (1)Semi-parallel vector fields and conformally flat Randers metrics, Publ.Math.Debrecen, vol.78/1 (2011), 191-207に発表した.さらに,最近になってフィンスラー計量より定義されるaveraged Riemann計量の重要性が指摘されるようになった.この計量についても研究し,いくつかの結果を得ることができた.その成果の一部は第45回フィンスラー幾何学研究集会(2010年9月,車京大学)において"Some remarks on locally conformal Berwald spaces"の題目で講演し,また論文 (2)Some remarks on Berwald manifolds and Landsberg manifolds, Acta Math.Acad.Paedagogicae Nyiregyhaziensis, 26-2 (2010) 139-148に発表した
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