研究概要 |
本研究課題における平成23年度の研究成果の概要は以下の通りである.本年度は,複素フィンスラー計量を持つ正則ベクトル束の研究と,特殊な実フィンスラー計量の与えられた多様体の研究に焦点を絞って行った.特に,複素多様体上のFinsler-Kahler計量について研究した.Finsler-Kahler計量の定義にはいくつかあるが,古典的な定義としてBerwaldの非線形接続を用いるものがある.今年度の研究の最も重要な成果として,この意味でのFinsler-Kahler計量は,Berwald計量になっていることを証明できた.従って,多様体にはリーマン計量が平均化の手法で構成できるが,この随伴するリーマン計量はその多様体のKahler計量になっていることが従う.この内容については第47回フィンスラー幾何学シンポジウム(平成23年11月,静岡市)で"Some remarkson averaged metrics and connection"のタイトルで講演し,またいくつかの結果については論文 (1)Averaged Riemannian metrics and connections with applications to locally conformal Berwald manifolds, to appear in Publ.Debrecen vo.80(2012). に掲載予定である.また,前年度からの継続した研究として,特殊フィンスラー計量をもつ実多様体の研究については論文 (1)Semi-parallel vector fields and conformally flat Randers metrics, Publ.Math.Debrecen, vol.78/1(2011), 191-207 に発表し,ある条件を満たすフィンスラー多様体の解析を行った.
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