研究概要 |
本研究課題の目標は,共形幾何,特に山辺不変量を対象とし,これを(手術理論・異種微分構造等に関する)微分トポロジーおよび(Sasaki-Einstein計量・正スカラー曲率計量のisotopy類等に関する)幾何解析との関連において研究を行うことであった.本年度は, ・正スカラー曲率計量のisotopy類とconcordance類についての研究 を行った.正スカラー曲率計量のisotopy類の研究は,山辺不変量の研究のみたらず,Einstein計量の存在の研究においても重要である超大域的なものである.しかしながら,isotopy類という同値類は必ずしも扱い易い概念ではないので,それより弱い同値類で比較的扱い易いconcordance類の研究が先ず第一となる.2つの正スカラー曲率計量(または正の共形類)がisotopicならば,それらは互いにconcordantである.問題は,この逆がいつ成り立つか,または不成立のとき,isotopy類の研究のための新しい概念・手法を如何にして見出すかである. 研究代表者の芥川は,研究連携者,特に小林治(熊本大学),小野肇(東京理科大学)およびBoris Botvinnik(オレゴン大学,アメリカ)と頻繁に研究連絡を行った.その結果,芥川とBotvinnikはその共同研究において,isotopy類という同値関係より弱いstable isotopy類という同値関係を導入し,2つの正スカラー曲率計量がconcordantならばsatable isotopicか,という問題を先ず第一に考えることが重要であることを指摘した.さらに,与えられた正の共形的concordanceに対して,その共形類のなかから標準計量と呼ぶに相応しい代表元のリーマン計量が一意的に構成出来ることが示せた. 上記の研究において,研究費補助金による国内・国外の研究者との研究連絡は重要であった.
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