研究概要 |
本年度の研究目標は,共形幾何,特に山辺不変肢を対象とし,これを手術理論やEinstein計量と関連において研究を行うことであった.特に,次の2つのテーマの研究を行った。 ・正スカラー曲率計量のstable isotopy類という概念を導入し,それらとconcordance類の関係の研究 ・特異空間上の山辺の問題とその正の山辺不変量の手術理論への応用に関する研究 正スカラー曲率のconcordance類の研究は,特にOregon大学のBoris Botvinnik教授と集中的に議論をしたが,現時点ではまだ本質的なところまで到達できていないことを認識するに至った.手術理論に関しては,そのあるべき公式の新しい形を求めて,オービフォールド,conic singuralityを持つ多様体,さらにはstratified space上の山辺の問題を,特にStanford大学のRafe Mazzeo教授およびBonn大学のJulie Rowlett助教と集中的に研究を行った.この問題の可解性・手術理論への応用に関して,かなりのことが分ってきたが,現在なお進行中である.特に,オービフォールド上の山辺の問題に関しては満足できる可解性の判定条件を得た.手術理論への応用に関しては,stratifiedspaceに関する山辺不変量の概念が重要であることも分かった.より具体的には,この概念は正の山辺不変量の手術理論を記述する言葉として重要である. 上記の研究において,研究費補助金による国内・国外の研究者との研究連絡は重要であった.
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