研究概要 |
本年度の研究では,[1]conic manifoldおよびstratified space上の山辺の問題および山辺不変量の研究,[2]7次元異種球面上のSasaki-Einstein計量の山辺不変量への応用を見込んだ微分幾何的・幾何解析的研究,であった.残念ながら[2]に関してはその勉強・調査にとどまり,現時点では成果が出せていない.本年度は,主に[1]に関する研究を行った.その成果は,以下の通りである. コンパクト多様体の山辺不変量をその山辺定数の族の極限として与える山辺計量の族を考える.このとき,それらの極限空間の研究のため,オービ・フォールドより一般の特異空間であるconic manifoldさらにはstaratified spaceを考える必要がある.「これらの特異空間上の山辺の問題」に関する研究を特に行った. (1)conic manifold上では,主にMax Planck研究所のJulie Rowlett助教と研究連絡を行った. (2)stratified space上では,主にStanford大学のRafe Mazzeo教授と研究連絡を行った. genericな条件の下,これらの空間上で山辺の問題は解をもつことが示せた.この研究過程で,特異点のない場合では考える必要のなかった「解の幾何的正則性問題」に気が付いた.すなわち,「得られた特異山辺計量がconic計量(およびiterated edge計量になっているか?」と言うある種の正則性に関する問いである.conic計量の場合この問題は,b-calculusの手法を用いて解決した. より一般のiterated edge計量の場合の解の幾何学的正則性問題は,現在進展中である.また残されたのはgenericではない場合で,これは今後の課題である. 上記の研究において.研究費補助金による国内・国外の研究者との研究連絡は重要であった.
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