研究概要 |
本年度は当初の計画に基づいて (1)12交点以下の結び目に関して具体的に決定するための準備, (2)半順序関係が成立する必要条件・十分条件 の2つの事柄に関して研究を行った. 昨年度までの研究によって,11交点以下の結び目の半順序関係に関しては完全に決定できている.これを12交点まで拡張する第一段階として,12交点の素な結び目の中で交代的なもの1288個に関して,そのn-dataを全て求めた.また,全ての組み合わせを考える事はその計算量が膨大になるため,手始めに12交点の交代結び目全体から8の字結び目に関して試験的に計算を行った. 一方,半順序関係が成立する必要条件や十分条件に関しては結び目の外部の間の写像として実現した場合の写像度との関連を中心に研究を行った.一般にdegree 1 mapは基本群の間の全射準同型写像を誘導することが知られている.特にBoileau-Boyer-Reid-Wangらの研究によって2橋結び目の間では半順序関係を与える全射は必ず結び目の外部の間のnonzero degeree mapから誘導されることがわかっている.これに対して,鈴木正明氏との共同研究で3橋結び目から2橋結び目の間ではdegree zero mapで全射準同型写像が与えられている例を具体的に構成した.また,この結果の一般化として与えられた2橋結び目に対して,あるMontesinos結び目が構成可能であり,このMontesinos結び目から最初の2橋結び目の間にはdegree zero mapから誘導される全射が存在することを証明した.
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