研究課題
(1)特異性の解を持つ楕円型境界値問題の数値解法に関する研究研究代表者は、JSPS特別研究員張暁宇氏との共同研究で、2次元円盤上における楕円型境界値問題に対して、真の解が円盤の境界でその微分係数が発散する場合の高精度な数値解の構成を行った。パラメータをもつ伸長関数による非一様な分割を採用して、その上のSwartztrauber-Sweet差分スキームで得られた近似解の収束性を調べた。パラメータを選ぶことにより、滑らかな境界値問題の近似解とほぼ同様な2次収束を実現した。このような数値スキームが非整合であるにもかかわらず、収束性とパラメータによって加速される特性をもっている。なぜいい性質が示されるかについても研究を行った。数値例によって条件数の再定義により離散システムは通常思われていたほど悪い条件ではないことがわかった。研究成果は一部分が論文としてまとめられ、Proceedings of Third International Conference on Boundary Value Problems, Integral Equations and Related Problemsに発表した。(2)特異性の解を持つ楕円型境界値問題の数値解の安定性に関する研究研究代表者は、台湾中山大学のZi-CaiLi教授らとの共同研究で、偏微分方程式を数値的に解くときに得られた大規模線形システムの安定性問題を考えた。条件数は線形システムの摂動問題の相対誤差を測る量として注目されている。通常の条件数の定義では、多くの偏微分方程式の離散化からの線形システムは条件数がかなり大きくて、不安定のように見える。しかし、今まで研究代表者と他の研究者たちとの共同研究で開発した特異性の解を持つ偏微分方程式の数値解法で分かるように、通常の条件数が大きくても、近似解はよく収束している。そこで、偏微分方程式の離散化に合わせる条件数の再定義を考える必要が出てくる。研究成果はNumerical Functional Analysis and Optimization誌に発表された。
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Proceedings of Third International Conference on Boundary Value Problems, Integral Equations and Related Problems
ページ: 327-337
Numerical Functional Analysis and Optimization
巻: Vol.32, Issue 5 ページ: 659-681